睡眠リズムを変え、偏食がなくなり、食べられるようになった

 皆さんもおわかりになると思いますが、Oちゃんの生活は明らかに「からだの脳」が育つものではありません。その証拠に、生まれてから一度も「お腹がすいた」と口にしたことがないといいます。脳のバランスがすでに大きく崩れているのです。

 私は、お母さんにそのことを説明し、まずは早起きから始めてもらいました。Oちゃんを起こすときは、Oちゃんが楽しめることをするのを提案。大好きな音楽を大きな音でかけたり、少し目が開いたらお風呂場に抱っこしていき、朝から一緒に水遊びをしてみたり……。手を変え、品を変え工夫をして、Oちゃんは、朝7時に起きられるようになりました。

 お昼寝も短く済ませるようにしてもらったところ、たった1週間で21時には自分から眠るという生活に変わったそうです。

 睡眠が変わるとOちゃんの日常生活には、さまざまな変化が出てきました。「お腹がすいた」と言って自分からご飯をねだるようになり、今では1日3回のご飯が規則正しく食べられるようになったそうです。これまでは絶対に食べなかったものも食べるようになり、好きな食べ物までできたのです。

 Oちゃんの事例はただの偶然ではありません。特に2~3歳の時期には、子どもの睡眠リズムが変われば昼間の様子も驚くほど変わることが多々あるのです。

「発達障害もどきかも」という気づきは、変わるチャンス

 相談にいらした親御さんに伝えていることがあります。それは、「今の子どもの状態がすべてではない」ということです。

 脳はいつまでも、成長し続けます。つまり、小さい頃に気になる行動があったからといって、一生それが続くとは限らないということです。脳が成長し、発達の凸凹が目立たなくなれば、診断がついていても症候が薄くなることだってありえます。成長の速度は人それぞれですが、皆、成長していくのです。