リトル・ハバナでは鶏が歩いている!?

増田 フロリダにも池上さんと一緒に取材に行きましたが、マイアミ近郊のカフェでも、メニューの上に紙を貼って、値上げしていましたね。治安があまりよくないようで、店の窓に鉄格子をはめて防犯してあったので、お店の中には入らないでテイクアウトしたほうがいいかと思ったんですが、入ってみると店内は明るくきれいで、結局お店で食べたんですよね。豚肉が挟んであるキューバンサンドイッチ、素朴な味でおいしかったです。8ドルぐらいでした。

池上 フロリダはキューバからの移民が多いので、リトル・ハバナがありますよね。本当にハバナの街を思わせる雰囲気でした。

増田 キューバは、葉巻が有名ですが、リトル・ハバナにも葉巻を作っているお店がありましたね。またキューバでは鶏を放し飼いにしているようなのですが、リトル・ハバナでも鶏が普通に道路を歩いていました(笑)。

池上 マイアミビーチのすぐ近くには、フリーダムタワーもありましたね。かつてキューバのカストロ政権からの亡命者を受け入れる施設だったところです。

 フロリダは温暖なので、若い頃ビジネスで成功し、金持ちになって移り住む人が大勢います。豪邸が多く、保守的な人が多い州です。ドナルド・トランプ前大統領もこの州に住んでいます。ディズニー・ワールドがあることでも有名ですね。

カンザスではスターバックスが17時半に閉まる!?

増田 私は、アメリカ中西部のカンザスにも行ったのですが、街中に人がいなくて、取材するのが大変でした。仕事へも、子どもの学校へも、買い物へも全部車を使うので、街に人が歩いていなかったんです。

 郊外にある大型のスーパーに行けば取材ができると思ったのですが、ヒスパニック系の買い物客ばかりで、英語が通じませんでした……。

 さらに若い人たちにも取材したい、スターバックスなら若い人がいるかなと思って、スマホで検索したら、なんと17時半に閉まると出てきました。夜に食事をするところもなく、結局パンダ・エクスプレスという中華料理のテイクアウトのチェーン店で夕食を買ってホテルで食べたんですよ。

池上 僕もカンザスに行ってみたかったなあ。

増田 こんなカンザスに? どうして?

池上 子どものころに読んだ『オズの魔法使い』の主人公ドロシーが住んでいたのがカンザスなんだよね。家が竜巻に巻き込まれて飛ばされてしまって、どこかに落ちた。ドロシーが家のドアを開けたら、見たこともない世界が広がっていて「ここはカンザスじゃないみたい」と言うわけ。なにもないカンザスとは違っていたからというのが理由なんだけど、アメリカの人たちはここで笑うんです。カンザスにはなにもないという共通認識があるから。

増田 カンザスのような場所で暮らしていたら、家と職場との往復が日常で、家族がいちばん大切という価値観になるのもわかる気がしました。

 テキサスにも取材に行きましたが、テンガロンハットを頭に載せたふくよかな体形のおじさんたちがステーキハウスに入っていくのを見て、西部劇の時代からなにも変わっていないんだという印象を受けました。

池上 テンガロンハットは、カウボーイがかぶっていたんですよね。