ダイヤモンド決算報#コンビニ・スーパーPhoto:PIXTA

新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はセブン&アイ・ホールディングスやローソンなどの「コンビニ/スーパーマーケット」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

セブン&アイ・HDが2割超の増収も
「そごう・西武」は売却延期に

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のコンビニ/スーパーマーケット業界4社。対象期間は2022年8~12月の直近四半期(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは22年10~12月期、その他3社は22年9~11月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・セブン&アイ・ホールディングス
 増収率:26.7%(四半期の営業収益3兆1723億円)
・ローソン
 増収率:46.1%(四半期の営業総収入2539億円)
・イオン
 増収率:6.1%(四半期の営業収益2兆2346億円)
・パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(ドン・キホーテなど)
 増収率:6.9%(四半期の売上高5048億円)

 コンビニ/スーパーマーケット業界の4社はそろって増収で着地した。中でも、セブン&アイ・ホールディングス(HD)は前年同期の実績を2割超、ローソンは4割超も上回る大幅増収となった。

 このうちセブン&アイ・HDは、今回扱う決算期に含まれる22年11月11日に、百貨店・専門店事業を構成する「そごう・西武」を米投資ファンドに売却する契約がまとまったと発表した。

 だが、その後に関係者から異論が噴出したことから、同社は株式譲渡日を「23年2月1日」から「3月中」に延期した(売却を巡るトラブルの詳細はダイヤモンド・オンラインの特集『セブン解体 池袋動乱編』を参照)。

 なお、セブン&アイ・HDは第3四半期累計の決算で増収増益となり、売り上げ・利益の両方で「過去最高」を更新。23年2月期の通期業績予想も上方修正した。

 全社の業績は絶好調にもかかわらず、「そごう・西武」を巡る問題が影を落としている状況だ。

 そんなセブン&アイ・HDの「頭痛の種」といえる、百貨店・専門店事業の現状はどうなっているのか。

 次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、セブン&アイ・HDの業績について詳しく解説する。