メンバーの発言をさえぎるもの、それは「評価」

(4)の「自分の意見を否定されるのが怖い」もよくあることです。マネジャーは、絶対に出てきた発言を否定してはいけません。発言を途中でさえぎってもいけません。前向きに、明るい雰囲気に持っていくことがマネジャーの務めです。

「違う」と思っても、情報や経験を共有するというスタンスを取ったり、質問をして考え方を変えてもらうように誘導するのです。マネジャーが何かを否定すると、それだけで場が暗くなります。そこでは、まっとうな本音の議論はできません。

 これらの問題の中で、非常に重要なのが、(5)の「評価」の問題です。

 しゃべりたいし、しゃべることもあるのですが、マネジャーに「駄目な発言」と思われて、「それが評価に響いたらどうしよう」と思って口を開けないチームメンバーは多いのではないでしょうか。

 それはもちろん、メンバーの揚げ足を取って「君の発想はまだまだだ」などと発言をするようなマネジャーがたくさんいたことも原因でしょう。

 一方、仕事ができるメンバーが黙りこくってしまうこともあります。実はこれも「評価」と密接に関係しています。

 こうした人の中には「自分の担当の、与えられた仕事だけをうまくやれば良い」と考える人もいます。そこで、ワイガヤの場で不用意な余計な発言をして、自分の評価を下げてしまうことを恐れているのです。

 つまり、どちらも評価の問題。本来、人を伸ばすための評価がこのように使われてしまうのは、非常にもったいないことです。