
アクセンチュアをライバル視し、DXやコンサル市場に食い込む伊藤忠商事。躍進を図るためパートナーに選んだのがINTLOOPだ。昨年10月に資本提携契約を交わした。ハイレベルなフリーランスのIT人材4.6万人を抱える同社は、伊藤忠の情報・通信部門の強化に欠かせない重要なピースとなりそうだ。連載『クローズアップ商社』の本稿では、INTLOOPの林博文代表取締役のインタビューを通じ、伊藤忠との提携で何を目指すのか、総合商社のDX戦略の秘策は何かを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 猪股修平)
商社のDX投資は小規模過ぎる
デジタル化には組織文化の刷新が必要
伊藤忠商事は戦略コンサルティングからシステム開発まで、デジタルの川上から川下までを一気通貫で手掛ける「デジタルバリューチェーン(DVC)」構想に注力する。
INTLOOPの強みは高度IT人材に多く登録してもらっている点だった。同社に伊藤忠が出資した狙いは、本体のIT人材不足の悩みを解消すると同時に、情報・通信部門の核といえる伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)をはじめとするグループ参加の企業群のDX戦略を加速するためだったとみられる。
提携により、株式の1%(INTLOOPの林博文代表取締役が保有していた分)を伊藤忠が取得した。今後、伊藤忠とのタッグでINTLOOPはどのように成長を図るのか。林氏に展望と狙いを聞いた。
――直近10期のCAGR(年平均成長率)は44.6%と右肩上がりの成長が続き、2024年7月期決算では過去最高の売上高を出しています。急成長の要因は何ですか。
紆余(うよ)曲折ありました。2010年代の半ばには、事業の方向性が迷走してベテラン社員が退職してしまいました。一時は月商で4000万円ほど落ち込んだ時期もあったほどです。
そこで、事業計画を見直し、フリーランス人材を活用するビジネスを磨き上げ続けました。マーケティングや採用に積極的な投資をした結果、DXの波が到来したのも相まって、ここまでの成長を果たせたと考えています。
――24年10月には伊藤忠との資本業務提携が始まりました。提携の話を持ち出されたときの受け止めは。
次ページでは伊藤忠との提携に至った経緯や、提携後の変化について林氏が明らかにする。