投資家の疑心暗鬼、次はエージェンシーMBSPHOTO ILLUSTRATION: PHOTO-ILLUSTRATION BY ALEXANDRA CITRIN-SAFADI/THE WALL STREET JOURNAL

 米国では銀行セクターが緊張状態に陥った結果、安全性で米国債とほぼ同等とされ、約8兆ドル(約1058兆円)の市場規模を誇るエージェンシーMBS(住宅ローン担保証券)にも動揺が広がっている。

 エージェンシーMBSは、政府系金融機関である連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)による住宅ローンを裏付けとしているため、銀行や保険会社、債券ファンドなどが幅広く保有している。多くの債券よりもデフォルト(債務不履行)の可能性が格段に低く、売買も容易だ。経営破綻前のシリコンバレー銀行(SVB)がエージェンシーMBSを最大の投資対象としていたのは、そうした理由が大きかった。

 ただ、エージェンシーMBSは他の長期債と同様、金利上昇に弱い。そのため、昨年は金利上昇を受けて価格が下落し、SVBなどの銀行が含み損を抱えることとなった。連邦預金保険公社(FDIC)がSVBを管理下に置いた結果、SVBが保有するエージェンシーMBSが数カ月中に売却され、弱体化した市場で供給が増え価格が下落しかねないと投資家は予想している。