2015年を最終年とする3カ年の中期経営計画を策定した。V字回復を遂げたヤマハ発動機が満を持して掲げた将来像とは。

ヤマハ発動機社長 柳 弘之<br />開発・生産体制を抜本変革<br />大台「売上高2兆円」目指すPhoto by Kazutoshi Sumitomo

──09年12月期の営業赤字からは脱したものの、前中計の目標値である12年売上高1.4兆円、営業利益率5%は未達に終わった。業績停滞の原因はどこにあるか。

 インドネシア、ブラジルの金融引き締めという外的要因を失速の言い訳にはしたくない。09年の構造改革で、開発機種数を大幅に絞った。当時は固定費抑制が最重要課題で、不可避の施策だったとはいえ、今、商品開発力の弱体化、社内風土の保守化という弊害となって表れている。向こう3年は二輪、船外機等の分野に250の新モデルを投入し、攻めに転じる。

 15年に売上高1.6兆円を達成し、かねて将来像として掲げてきた「(17年に)売上高2兆円」の旗を降ろすつもりはない。

──どのように研究開発(R&D)・生産体制を抜本的に変革するつもりなのか。

 変革の要諦は二つ。一つ目は、現地化だ。従来、海外のR&D拠点では量産準備の“補助的な開発”しか行ってこなかったが、今後は、(日本で開発・生産する)基本プラットフォーム以外は現地のテイストを取り込んだ鮮度の高い開発体制へ変更する。それに伴い、R&Dに従事する外国人を倍増し、1000人規模にする。生産体制についても同様で、全体の工数の3割を海外へシフトさせる。

 二つ目は、コスト競争力だ。開発の現地化により、開発期間を従来の3年から1~1.5年に短縮する他、基幹部品の80品目に関してはサプライヤー数を半減の200社に集約する。