外国人への道案内は
伝えたいという本心から伝わる

 伝え方は練習次第で軌道修正できます。しかし、何を語るかというエピソードに関しては、あなたの心に嘘をついてはいけません。頑張ったことには自分にしかわからない真実があり、それは確実に人に伝わり、人の心を打つのです。

 正しい英文法で外国人に道案内しろと言ったら、多くの人はできないでしょう。しかし、突然外国人に声をかけられて、なんとか相手に教えてあげたいという気持ちがあれば、「go straight」「right」「left」といった、とにかく知っている単語と身振り手振りにより、文法的には不完全でも案内は伝わります。それは伝えたいという気持ちの真剣さ、その一生懸命さに、聞いている側が心を打たれるからです。
 
 外国人への道案内で、文法の正しさだけに固執するなら、それはガクチカでエピソードが受けるかどうかばかりを考えるのと同じことで、本質から外れています。なにより、作り話は詰まりやすいものです。エピソードが大ウケする必要はなく、あなたのことをどれだけちゃんと語れるかだけが問題なのです。

 そして、人間はうまくできていて、自分の心が動いた瞬間のことしか、切実さをもって語れないものです。あなたしか知らないこと、あなたが体験したこと、あなたの思い出は、一番あなたらしく話せることであり、なによりの自己PRなのです。

 繰り返しますが、「一番力を入れた」という言葉に引っ張られすぎず、些細なことでも構わないので、あなたらしさが伝わる話、本当に心が動いた瞬間の記憶を探してみてください。「本当のこと」はあなたをきっと助けてくれます。

(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局長 福重敦士、構成/ライター 奥田由意)