ちなみにこの読み替えは、就活の自己PRで聞かれる「強みと弱み」にも応用できます。弱みは短所をカミングアウトしてしまうのではなく、「苦手なこと」くらいに考えるといいでしょう。たとえば「人前で話すのは苦手なので、話をする前にメモするようにしています」と言うと、ちゃんと克服のための努力をしており、コミュニケーションが成立していることが伝わります。

 学生は他人と比べて「目立たなければならない」「きれいなストーリーでなければいけない」という思い込みから、「こんなエピソードではアピールする価値がない」と、企業が本当にささやかな体験を評価してくれるのかと猜疑心を抱きがちです。しかし、どんな経験でも誰にも否定する権利はありません。あなたが本当に心を動かされたことを堂々と話し、それを「いいね」と言ってくれる会社と出会うことが就活の成功であり、あなたにとっての幸せです。

「卵の巻き方と切り方」でも
ガクチカになる

 いくつか、実例を紹介したいと思います。

 ある学生は、アルバイトでキッチンの焼き場を担当したときの話をしてくれました。最初に頑張ったことは、だしまき卵作りだったと言います。料理は初めてだったので、まず「だし巻き卵だけ誰よりもうまく巻けるようになろう」「だし巻き卵に関しては誰にも負けないと言えるようになろう」と考えました。

 その人がした工夫の一つは、注文したお客さんの人数によって卵の切り方を変えて出したことでした。1人1人に同じ数の料理を提供できるように、2人なら4切れ、3人なら6切れに切る。女性ばかりのお客さんには小さめに切って出す――。そうして喜ばれた結果、「あいつのだし巻き卵は評判がいい」とアルバイト先で認められたと言います。

 これは「アルバイトリーダーとして、チームをまとめて、業務改革をして云々」というような、いかにもウケの良い話には聞こえないかもしれません。しかしそういう話以上に、人となりや、どういうところで頑張れる人なのかがわかり、人と接するときの丁寧な心遣いが如実に伝わると思います。お客さんによって切り方を変えるというディテールは、その人が実際に経験した、その人にしか語れない内容で、そこに最大のポイントがあります。