介護休業でやるべきは、
エンディングまでの段取りを付けること
本来、3カ月間職場を離れている間に短期集中で行うべきこととは、いわゆる終活です。エンディングまでに想定される課題について親子間で話し合い、具体的な段取りを決めておくことです。当然、財産管理や財産承継の話も含めなければ意味がありません。
具体的には、まずは長い時間をかけて離れていった親子間の心理的距離を縮めた上で、要介護・終のすみか・がんなどの手術・延命治療・財産分与・葬儀・死後事務、といったテーマごとに、「老親側の希望、現役世代(子どもたち)への依頼事項、財源と予算」を明確にしておく必要があります。これだけの内容について親子間でコンセンサスを取るためには、3カ月程度はどうしても必要です。
これは老親側に判断能力があることが大前提ですから、要介護2にまでなってしまったら手遅れです。理想は親が元気なうちから、最悪でも「要介護1」以下(要支援1、要支援2、要介護1)のうちに、終活を終えておかねばなりません。
なお、認知症患者の7割は要介護1以下であるというデータがあります。その意味では、介護休業の取得要件である「(老親が)要介護2以上」になってしまったら、実は終活には時すでに遅しなのです。
つまり、現行の制度で何とかしようと思うのであれば、介護休業を取得する前から老親の終活を始めて財産分与を含むほとんどのことを決定しておき、要介護2以上(重篤)になって取得した3カ月間の休みは、老親を施設に入所させるために使う、というのが本来の介護休暇の使い方ということになります。