日本人がほぼ知らない町・淄博市でバーベキューブーム
最近、中国でもっとも話題になっている地方都市といえば、淄博(しはく)市だと思う。しかし、同市の日本での知名度が非常に低い。まず地名にある「淄」という漢字は日本では使われていないから、ほとんどの日本人が日本語読みを知らない。どの省に属しているのかも、たぶんそれほど知られていないだろう。
昔、淄川と博山という所に大きな炭田があり、19世紀末に本格的に採炭が開始されてから産業的に台頭し、炭鉱の町として栄え始めた。1945年にこの二つの鉱山区が合併し、それぞれの頭文字をとって今の地名となり、1955年に市制が敷かれた。一言で言えば、実に平凡な町だといえよう。だから、中国の各省・市・自治区を紹介する拙著『「中国全省を読む」事典』もこの町の存在にはまったく触れていない。
しかし、最近、「淄博バーベキュー」というのが、大きな話題となり、中国で最も知られる町となった。そして、中国の他都市の政策にまで影響を及ぼしている。