インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。『このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書だ。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。
金融政策と景気の動きには、
4つのサイクルがある
下図をご覧ください。これは、一般的な金融政策と景気の動きを示したものです。
本連載を執筆している時点で、世界は右下の「金融引き締め相場」にあります。金融引き締め相場では、景気の過熱やインフレを防ぐために金融引き締めが実施されるため、企業業績は減速します。株式も債券も、投資には厳しい環境です。
金融引き締めにより企業業績が悪化すると、次に「景気後退相場」を迎える可能性が高くなります。すると、引き上げた金利をどこかで引き下げていくことになるでしょう。金利が下がれば債券価格は上昇しますから、景気後退相場では株式投資には厳しい環境である半面、債券投資にはよい環境になることが考えられます。
一般には、景気が後退した場合、景気回復に向けて金融緩和が実施されます。
債券ファンドに投資する良いタイミング
上図の左上の「金融緩和相場」になれば、徐々に企業業績が回復に向かい、株式も債券もよい投資環境を迎えることになるはずです。そして金融緩和によって企業業績が回復すると、次に上図の右上の「景気拡大相場」に移るというのが通常のサイクルです。
もちろん、今後の投資環境が実際にどのように変化するかを完全に予測することはできません。
しかしこの一般的なサイクルを前提とするならば、現状は債券に投資するのには非常によいタイミングであると言えそうです。
(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。