欧米の長期金利「ピークアウト」時の投資法、安全運転で次のタイミングに備えよPhoto:PIXTA

米国に端を発した金融不安にもかかわらずFRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレ圧力が抑制されるまで金融引き締めを継続するだろう。先進国の人口減少も賃上げ圧力を高止まりさせる。人口減などを補い生産性を向上させることに資するテクノロジー株の有望さは変わらないが、今はいったん低リスクの債券で資金を運用し、次なる投資のタイミングに備えるべきだろう。(クレディ・スイス証券株式会社 ウェルス・マネジメント チーフ・インベストメント・オフィサー・ジャパン 松本聡一郎)

インフレ率が2%に低下するには
まだ時間が必要

 2023年のマーケットは、意外なほど勢いよく上昇して第1四半期を終えた。この上昇をリードしたのは、ビットコインなどの仮想通貨、株式ではGAFAや半導体関連の大型テクノロジー株だった。

 この上昇は、経済や金融環境および資金フローの動きなどの裏付けを欠いているため、昨年から続いている長期的な下げトレンドでの一時的な戻りだと考えている。

 世界経済の成長はスローダウンしている。パンデミックによる活動制限からの解放、経済活動再開による景気回復の勢いは衰えている。中国の経済活動再開も、この世界的なトレンドを反転させるほどの力強さは持ち合わせていないようである。

 これらは需要を抑制し、インフレを鎮静させようとする欧米各国の金融引き締め政策の影響によるものである。インフレ率が急騰したことに対応して、急ピッチでの利上げを実行してきた効果は表れ始めており、利上げの打ち止め時期は近づいてきているようだ。

 しかし、インフレ率の水準が、目標の2%まで低下していくには、まだ時間が必要で利上げにより引き締まった金融環境は当分継続するだろう。

 この急ピッチな利上げと金融引き締め政策の影響から、米国では地銀破綻が起こり、欧州にも飛び火し銀行の経営不安が高まることになった。

 米国では地銀の破綻処理のため流動性供給が行われたことで、QT(量的引き締め)で減少傾向にあったFRB(米連邦準備制度理事会)の保有資産は足元増加に転じており、マーケットではFRBの利下げ期待が再燃するきっかけとなっている。

 この事実は、1997年アジア通貨危機や98年米大手ヘッジファンドの破綻を受け、FRBが予防的措置として98年9月から11月の3カ月間で75bpの利下げを行った出来事を思い起こさせるかもしれない。

 この措置により、米国経済は景気後退入りを未然に防ぐことができ、当時始まっていたインターネットビジネスの急速な成長もあり米国経済は高い成長力を取り戻した。

 では、今回FRBは予防的利下げに踏み切るだろうか。次ページ以降、検証していく。