日本銀行による昨年12月の予期せぬ政策修正は、世界中の投資家に動揺を与えた。しかし、米著名投資家のケン・フィッシャー氏は、そもそも中央銀行の行動は大して注目に値しないと喝破。日銀のみならず、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策についてもそう考える理由を、豊富な実例やデータを基にひもといた。
中銀は物事を引き起こすより
反応する存在に過ぎない
日本銀行は次に何をするだろうか?黒田東彦総裁による「巨大」とされた12月の政策転換以来、市場関係者や世界各地のニュースの見出しは不安げに臆測する。
彼らは近視眼的に日銀の政策を予想し、その細かい動きに着目する――今後の動向、日本の経済と株式がどう反応し、世界の投資家にとって何を意味するかヒントを求めて。
だが、はっきり言って、すべて至極大げさだ。中央銀行の行動は大して注目に値しない。彼らの発言についてはなおさらだ。
世界中のあらゆる投資家が、中銀への執着にあふれている。広く信じられている仮定はこうだ:中銀は――大勢の博士号取得者と制度化されたプロセスを有し――市場全体より賢く、自国経済の将来への慧眼(けいがん)があり、随時経済を導くツールを持つ。従って、中銀の言葉は規範的で政策の動向は極めて重要と想定するのが慣例であるのだと。
しかし、このような考えは誤りだ! 私は長らく、中銀は物事を引き起こすより、物事に反応する存在だと書いてきた――経済と市場の状況が中銀の意思決定を左右するのであり、その逆ではない。
なぜか?次ページでは、日銀のみならず、FRBについてもそう言える理由について、豊富な実例やデータを基に解説していく。