好きなことを仕事にし
自分らしい人生を送る

書影『ユダヤ人大富豪の教え』『ユダヤ人大富豪の教え』(だいわ文庫)
本田健 著

「それは、もちろん、スターや、好きなことを仕事にしている人でしょうね」

 出てくるスターの名前の古さに少し戸惑いながらも、僕は答えた。

「そのとおり。お金儲けのことばかり考えている連中より、仕事が大好きでしょうがない人間のほうが成功するのだ。単なことだ。だから、お金のことを考えるなと言ったんだよ。ここに、花が大好きでしょうがない花屋と、儲けてやろうと思っている花屋がいるとしよう。花屋で金儲けをしようという人は、一本あたりの原価とか、客単価とか、経費とかばかり考える。

 花が好きな店の主人は、自分の大好きな花で、お客さんをどのように喜ばせようかと考えている。余分にサービスしようとか、きれいにラッピングしてあげようとか、お客が喜ぶサービスを無限に思いつく。お客にいかにたくさん与えられるかを考える。そんな花好きの人間は、トイレに行っても、お風呂に入っても、花とお客さんのことで頭がいっぱいだ。

 一方、利益ばかり考えている花屋は、その逆をやる。一本サービスするなんて、とんでもない。ラッピングするときは有料にして利益を出そう。もっとたくさん客に花を買わせてやろうと、客から奪うことばかり考える。どちらの花屋で花を買いたいかね?」

「それは、お客さんを喜ばせようとする花屋でしょうね」

「そうだね!人は、自分の好きなことをしている人間を応援したくなるものだよ。客は、花を愛する花屋で花を買うと、幸せな気持ちになる。君が店に顔を出すと、その花屋は世界一幸せな人のようにうれしい顔で迎えてくれる。その喜んだ顔を見たいがために花を買いに来る人もいるだろう。だから、幸せになり、成功したければ、好きなことを仕事にして自分らしい人生を送ると決めることだ」

「はい、わかりました」

 ゲラー氏に「そのとおり!」と言われたり、誉められたりすると、とてもうれしかった。彼に誉められるのがうれしくて、僕は一生懸命質問してしまうほどだった。