子育てへの口出しは「ほぼ全て失礼」な発言に(写真はイメージです) Photo:PIXTA
子育てへの口出しは、実際に有益な知識だったとしても親切心からだったとしても、ほぼ全て「失礼」になってしまいます。その理由について、石原壮一郎氏の著書『失礼な一言』(新潮新書)より、その一部を抜粋・編集してお届けします。
子育てへの口出しは愚挙か
「えー、どうして母乳じゃないの。かわいそう」
「笑わない子だね。パパとママの愛情が足りてないんじゃないの」
「地元の公立に通わせるなんて、親として無責任だと思うな」
令和の失礼研究所が被害者から収集した「失礼な口出し」の一例です。今日も世界中で、言うほうは「親切なアドバイス」のつもりだけど、言われた親はハラワタが煮えくり返るセリフが飛び交っていることでしょう。
子育てに普遍的な「正解」はありません。どの親もあれこれ悩みながら、子どもの個性やその時々の状況に合わせて「なるべくよさそうな方法」を模索しています。とくに子どもが小さいころは、親も「親の初心者」であり、たくさんの不安を抱えずにはいられません。
そんなデリケートな状況にあるだけに、たとえ有益な口出しだったとしても、素直に受け止めて感謝の気持ちを抱くのは、かなり困難です。まして、持論を押しつけたいだけの的外れな口出しやダメ出しは、一種の暴力と言えるでしょう。
冒頭の「母乳」の例だと、母親が母乳が出ない体質なのかもしれません。そうだとしてもそうじゃなかったとしても、ミルクで育てているからといって「かわいそう」と見下すのは、あまりにも失礼です。
二つ目の「笑わない」も、たまたま機嫌が悪いだけかもしれません。あるいは笑うのが苦手な子でも、理由はいろいろです。事情も知らないで「愛情が足りてない」呼ばわりするのは、けた外れに無神経で傲慢な所業です。
三つ目は、いわゆる「お受験」をさせるさせないの話。どちらもメリットとデメリットがあるはずで、その子にとってどちらがベターかは、誰にもわかりません。「親として無責任」という言葉は、いわれのない侮辱です。極めて大きなお世話ですけど、そんな偏った考え方の親に育てられる子どもは、どんな大人になっていくのでしょうか。
子育てへの「失礼」実例集
子育てへの失礼な口出しは、いろんな人がやらかします。ママ友、実の親、義父母や親戚、通りすがりの人、そして配偶者……。もちろん母親だけでなく、父親にも失礼の刃はどんどん向けられます。
厄介なのは、言っている側に悪意も自覚もないところ。それだけに、うっかり自分も加害者になるかもしれません。具体的な加害例を反面教師にしましょう。
【義父母や実の親の口出し】
・「背が伸びないのは、栄養が足りてないからじゃないの」
・「こんな薄着だと風邪ひくわよ」
・「女の子なんだから、こんな地味な服はかわいそう」
・「男の子なんだから、もっと厳しく育てないと」
→勝手に“落ち度”を決めつけて親を責める、自分が子育てしていた頃の常識を押しつける、昔ながらの「男らしさ、女らしさ」の呪いをかける……。どれも典型的な「やってはいけないこと」です。
・「まだ0歳なのに保育園に預けるなんてかわいそう」
・「子どもにワクチンなんて、よくそんなことができるわね」
・「ピアノなんて習わせても、将来何の役にも立たないよ」
・「今の時代、早い時期から英会話を習わせるのは親の務めだよ」
→親はしっかり考えた上で、それぞれの選択をしています。何か言いたくなる場面もあるでしょうが、険悪な関係になりたくなければグッとこらえましょう。年長者の意見がいかに役に立たないかは、自分が言われた頃を思い出せばわかるはず。
そのほか、お菓子を安易に与えたり、テレビやDVDを際限なく見せたりなど、甘やかせすぎるのも「間接的な口出し」と言えます。
もっともやってはいけない悪質な口出しは、子どもに父親や母親の悪口を言うこと。大人同士で相手に好き嫌いがあるのは仕方ないにせよ、子どもを巻き込んで溜飲を下げるのは、かなり恥ずかしい所業です。







