通期決算では382 億円の黒字となった中部電力通期決算では382億円の黒字となった中部電力 Photo By Masataka Tsuchimoto

大手電力10社は当初、燃料価格高騰や為替の影響でいずれも23年3月期通期の業績予想は「最終赤字」という惨憺たる状況だった。だが、4月下旬の決算発表では、中部電力と関西電力の2社がまさかの黒字転換を果たしたほか、6社が赤字幅を縮小した。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、業界に吹いた「神風」の正体を明かすとともに、神風による電力10社の影響度ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

赤字予想から関西電力は176億円
中部電力は382億円の通期黒字に

 燃料価格高騰や円安という大逆風を電力業界は受け続けてきたが、ようやく風向きが変わってきたようだ。

 大手電力10社は4月最終週に2023年3月期の通期決算を発表した。

 22年秋(一部の社は今年1月)時点の各社の通期業績予想は、いずれも大赤字の惨憺たるものだった。暖房需要が高まる冬季は電力使用量が跳ね上がる時期で、売れば売るほど損がかさむ「逆ざや」に苦しむ各社は戦々恐々としていた。

 だが通期決算を見れば、半年前の懸念がうそのように驚くべき結果となった。

 業界トップ3では、通期予想で1450億円の巨額赤字を見込んでいた関西電力が176億円、同じく1300億円の赤字見通しだった中部電力が382億円の最終黒字となった。東京電力ホールディングスは最終赤字だったものの、今年1月時点で予想していた赤字額から61%も圧縮する着地を見せたのである。

 ほかにも、赤字予想幅を69%圧縮した北海道電力など多くの社で業績が大幅に改善する傾向が見られた。

 実は、主な要因は第4四半期(1月~3月)の業績にある。このため、「神風が吹いた」と形容する業界関係者もいる。

 次ページでは、神風の正体を明らかにするとともに、神風が電力10社に与えた影響度の大きさをランキング形式で紹介する。