私はアマゾンがOLPを一般に無料公開しているというのは、実はとてもありがたいことだと思っています。個々の会社の事情もあるでしょうが、日本企業もどんどん取り入れればいいのにと思います。

 実は私は、ある会社で実験的に、OLPを一部取り入れたことがあります。そのときはまずその会社のロールモデルをつくりました。

「この会社のマネージャー像として、あるべき人はこういう人だ」というように、理想像を表す言葉を列挙してもらったのです。するとOLPに近いものができてきた。それをその会社の評価軸として導入したことがあります。

図_OLPに基づく人事システムOLPに基づく人事システム 拡大画像表示
書影『amazonのすごい人事戦略』(東洋経済新報社)『amazonのすごい人事戦略』(東洋経済新報社)
佐藤将之 著

 おそらく、ジェフ・ウィルキたちは、アマゾンのロールモデルを言葉で表していった結果、この14箇条ができて、それを採用や評価のツールとして使うようになったのではないでしょうか。

 私は、もしOLPがなかったら、おそらくいまのアマゾンは存在しないと思います。

 アマゾンには数々のすばらしいサービスがあるけれど、根底にあるのは「人」の力。OLPに賛同してくれる社員を採って、その人たちをOLPに添って成長させる。そうすることで会社も「人」と一緒に成長してきた。アマゾンは「人づくり」が決め手となって、ここまで来たと言っても過言ではないと思います。