関西私大も関東と同じ傾向
公務員人気が高いのはなぜ?

 まず関大で1位となったのは大阪府教員で、前年3位からのランクアップとなる。関大は官公庁への就職が多いことで知られるが、国家公務員一般職、国税専門官、大阪市職員、大阪府警察官と、トップ5までが全て公務員という結果は、壮観ともいえる。

 民間企業では、紀陽銀行、京都銀行、南都銀行、関西みらい銀行など地元の金融機関が多い印象だ。TIS、パナソニック、富士ソフト、京セラ、西日本電信電話(NTT西日本)など、電機・精密・IT・通信なども強い。

 関学の1位も、前年に続いて国家公務員。関大と同じく公務員人気は高く、トップ10を見ると兵庫県教育委員会、神戸市、国税専門官、大阪府教育委員会と官公庁への就職が半数を占める。民間企業では、日本生命保険、東京海上日動火災保険、住友生命保険、明治安田生命保険と、保険業界への就職が目立つ。

 同志社は、前年3位の京都銀行が1位となった。三井住友信託銀行、三井住友銀行、京都中央信用金庫など銀行への就職は多いが、電機・精密が強いのも特徴だ。日本電気(NEC)、村田製作所、パナソニック、京セラ、ローム、日立製作所、ダイキン工業と、関西に基盤を置く企業を中心に、同大の卒業生が日本のモノづくりの現場を支えていることがわかる。

 関東の有名私大の学生に人気がある楽天グループに、一定数の卒業生を送りこんでいるのも特徴だ。

 立命館は、前年6位のパナソニックが1位へとランクアップ。前年1位の滋賀銀行は3位となった。銀行、住宅、小売り、電機など、様々な業界の中堅・大企業に就職している。これは、私大の卒業生の就職ランキングとして、一般的なイメージに近いものではないだろうか。

 そして近大の1位は、前年に続いて大阪府警察となった。2位には、前年14位だった技術者派遣のメイテックがランクイン。同大も、大阪市役所、大阪府教育委員会、大阪市教育委員会、大阪府庁、国税専門官と、やはり官公庁への就職が目立つ。自衛隊への就職が多いのも興味深い。

 こうして関西有名私大の就職先を俯瞰すると、関東の私大と同じく、官公庁への就職が目立って多いことがわかる。若者の安定志向が強まる中、「勤務時間が比較的規則正しい」「休日・福利厚生が充実している」といった理由で公務員を志す学生は多い。また、親世代は実感しづらいかもしれないが、「社会的貢献度が高い」という志望動機も多いようだ。これは近年、若者の間で社会貢献への意識が高まっていることの表れだろう。

 直近では、コロナ禍で民間企業の先行きに不透明さが増したことが、公務員人気に拍車をかけている。こうしたニーズを受け、学生の官公庁への就職をサポートするための取り組みを行う大学が増えているという。

*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。

【ランキング表の見方】
2022年春の大学別の主な就職先。就職先(企業・団体)の名称は、原則としてアンケート調査時点の各大学の回答による。また、大学通信の調査方法によって表記しており、正式名称と異なる場合がある。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。大学院修了者を含む。(調査/大学通信)