万能の減量法などない

 同氏によると、例えば米食品医薬品局(FDA)はGLP-1受容体作動薬(オゼンピック)の減量目的での使用を、肥満に伴う合併症のある場合にのみ承認しているにもかかわらず、糖尿病や肥満関連合併症のない人も使用しているのが実情だとのことだ。同氏は、「GLP-1受容体作動薬の使用を中止すると、使用中に減少した体重が元に戻り、食欲も元に戻る」との解説を付け加えている。

 今回のSpees氏らの研究では、2007~2016年の米国国民健康栄養調査に参加した19歳以上の成人2万305人のデータが用いられた。過去12カ月間に、意図的に5%以上の減量を達成していた群2,840人と、その他の群1万7,465人とに二分して、生活習慣や行っている体重管理法などを比較した。その結果、5%以上の減量を達成していた群は、食事の質(P=0.014)、身体活動(P<0.001)、および血清脂質(P<0.001)の指標が、対照群より有意に優れていた。また、対照群は、食事を抜いたり(P=0.002)、減量目的で薬剤を使用している(P<0.001)人の割合が有意に高かった。

 Spees氏は、「健康目的で減量を試みようとしている人に対して強調したいことは、たとえ小さな行動の変化であっても、臨床的に意味のある改善をもたらす可能性があるということだ。多くの場合、著しい減量を目指すのではなく、わずか5%ほど減らすことを目標に掲げた方が現実的ではないか」と述べている。

 この研究結果は「減量に近道はない」ということを示しているが、本研究に関与していない複数の専門家が、そのような考え方に同意を示している。その1人でワシントンDCにある体重・ウェルネスセンターの所長であるScott Kahan氏は、「多くの人々が、健康的とは言えない流行の減量法に取り組んでいる。それらの中には効果が実証されておらず、危険な方法も存在するという現状を改める必要がある」と語っている。

 また、ニューヨークで活動している管理栄養士のRobin Foroutan氏は、「万能の減量法などない」と述べた上で、「今回の報告により、体重管理に成功している人は総じて食事の質が良く、習慣的な運動を行っていることが示された。ただし、果物や野菜の摂取量に関しては、どちらの群にも改善の余地がある」と指摘している。なお同氏は、「このような研究からは実際のところ、どの食品が最も健康に良いのかという情報はあまり得られない。しかしその一方で、健康と長寿に対する運動の重要性は明らかに示されている」と話している。(HealthDay News 2023年5月4日)

https://consumer.healthday.com/weight-loss-2659940063.html

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