フルマラソンを走りきれる人もいれば、100メートルを走るのもやっとという人もいる。人によって体力はさまざまで、「ちょうどいい運動強度・運動量」が異なるからだ。運動強度を上げていって、有酸素運動が無酸素運動に切り替わり始める転換点がその目安なのだが、これを測る方法は50年前から変わっておらず、大がかりな装置が必要だった。しかし、昨年ファンケルが開発した技術を使えば、簡単・安価・正確に測定できるという。体力を「見える化」するとどんなメリットがあるのだろうか。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
風薫る5月。新型コロナウイルス禍がようやく終息に向かいつつある昨今、マスク無しのランニングを楽しむ人がだいぶ増えてきた気がする。ランニング以外でも何かしらの運動を、新たに始めてみようと思っている人は多いのではないだろうか。
健康や精神のためにも、脳の活性化のためにも、運動は大切だ。しかし、安全かつ効率よく運動するために気を付けなければならないことがある。それは「体力に応じた運動強度」だ。
最適な運動強度・運動量は、
人によって異なる
例えば、ダイエットのために運動をする場合。「脂肪燃焼には有酸素運動でしょう」というわけで、ランニングや自転車、水泳等を同じ強度、同じ時間行っても、効果は人それぞれだ。
水泳が苦手なぽっちゃり体形のAさんは、ビート板を使ってバタ足で25mプールを数往復しただけで2kgも痩せられる(実話!)のに、水泳が得意で筋肉質のBさんはクロールで数km泳いでも全然痩せなかったりする。ランニングも同様。走り慣れていない人間にとっては、100mを走り切ることさえ難しく、脂肪燃焼が始まる前にへたばってしまうかもしれない。体力は年齢、性別、身長、体重、筋量、心肺機能、運動技術などによって異なるからだ。
従って、Bさんが痩せるには、Aさんよりも強度が高い運動を長い時間行う必要がある。それがBさんにとっての適切な運動量なのだが、これまで適切な運動量の測定はとても大変だった。
そんな状況に、ファンケルが朗報をもたらした。個人の「体力」を簡便に“見える化”する、世界初の技術の開発に成功したというのだ。