母校愛にあふれる大学付属校新校長

 一般に、大学の系属付属校は共学校が多いものの、一部に男女別学校もある。卒業生の多くが東急東横線日吉駅を挟んだ向かい側にある慶應義塾高校に進む慶應義塾普通部で、2022年10月に部長となったのは森上和哲(もりかみ・たかあき)新校長である。慶應義塾大理工学部卒で専門は環境科学、30年前から同校教員を務め、大学の自然科学研究教育センターのメンバーでもある。荒川昭前校長は同大数理工学科卒の数学科教員だった。

 立教女学院の入試面接の練習で将来の夢を聞かれたとき、「中学校の数学の先生になることです」と答えたというのが、立教女学院中学校・高等学校の浅香美音子(あさか・みねこ)新校長。1980年卒のOGで、中学校教頭からの就任である。大学卒業後、イギリスにある立教英国学院での3年間の勤務を経て、母校に数学科教師として赴任、現在に至る。「人生の中で最も多感な6年間、毎日が楽しくて嬉しくて,今振り返ってもひときわ輝いていた」と思い返す母校愛の塊のような新校長である。 

 日本女子大文学部国文学科を卒業するとき、卒業論文のゼミでも世話になった青木生子学長から声を掛けられて附属中学校の教員となったという日本女子大学附属中学校・高等学校の野中友規子新校長もまた、母校の卒業生であり、教頭から中学校校長に就任した。同校の教員はOG率が極めて高いことでも知られている。また、同校は女子大の付属校としては例外的といってもいいほど内部進学率が高い。一昨年に120周年を迎え、キャンパス再編などこれからの姿を整えつつある日本女子大ともども、新しい母校の姿を模索する時期にさしかかっているのかもしれない。

 清泉女学院中学高等学校の小川幸子新校長も同校卒業生で、教頭からの就任となる。お茶の水女子大・同大学院を出て都内の私立女子校に勤務したあと、家族の米国赴任のため退職。2人の子育てをしながら、ジョージタウン大学大学院でバイリンガリズムを学び、英語教授法(TESOL)の資格を得るなど約5年の米国生活を経て、40歳を過ぎてから母校の英語科専任教員となっている。

 今年創立75周年を迎えるこのカトリック女子校は、JR大船駅からカトリック男子校の栄光学園を経由したバス便の終点、北条早雲が築いた玉縄城の城址にある。神奈川の女子校としていち早く午後入試を導入、多くの受験生を集めるなど、チャレンジャー精神にあふれている。同じ市内にある鎌倉女学院中学校高等学校では大野明子新校長が誕生している。