「近い将来、『人類とAIの対立』というテーマはもはやSFの主題として古典となり、生き物か機械かなど大した問題ではない、温かい時代がやって来る」と家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を開発したGROOVE X 創業者・CEOの林要氏は言います。全3回のシリーズの最終回は、人類とAIのタッグが無敵な理由をメジャーリーグの大谷翔平選手や映画監督の庵野秀明氏のエピソードを例に『温かいテクノロジー AIの見え方が変わる 人類のこれからが知れる 22世紀への知的冒険』(ライツ社刊)から紹介します。
むしろ人類と
AIのタッグこそ無敵
人類は思考のメカニズムがすばらしく合理的です。
しかし、そのアウトプットとしての判断には、学習プロセスにおける認知のバイアスが大きく入り込む傾向にあります。結果的に「合理性を欠くことが多い感情の生き物」として、いまも進化し続けています。
なかでもとてつもない柔軟性を持つ脳は、やや天才的な、人類のすばらしい特徴です。
これに比べてAIは、やや型にはまった秀才的なところがあります。「自らが生き残ることを目的としない存在」なので、感情の起伏は人間ほど強くありません。死への恐怖が弱く、トラウマも弱い。結果的につねに落ち着き、安定的で模範的な意思決定をするように実装される傾向にあります。
そんな二者がもし、タッグを組んだとしたら。