2022年4月、あいおいニッセイ同和損害保険の「中核代理店制度」がスタートした。同月に就任した新納啓介社長にとって、中期経営計画の遂行と制度運用を軌道に乗せることがミッションとなる。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#22では、新納社長に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 藤田章夫、片田江康男)
あいおいの代理店施策の目玉
「中核代理店制度」がスタート
2022年4月、あいおいニッセイ同和損害保険は、新たな代理店施策である「中核代理店制度」の運用をスタートさせた。
損害保険会社の営業体制は、業界共通で代理店制を敷く。保険会社は全国各地に営業拠点を置くが、そこの社員は主に、代理店への営業や事務手続きの支援・指導を行っている。
しかし、全国の代理店の中には、少人数で経営するいわゆる“パパママ・ストア”のような代理店も多い。デジタル化によって年々、業務内容が効率化・高度化されていく中で、旧来型の“パパママ代理店”のような小規模代理店は、変化に付いていけなくなりつつあった。
損保各社はこの数年、小規模代理店を再編・集約し、規模を大きくさせるなどして、日々進化する損保業務に対応できるように促してきた。東京海上日動火災保険や損害保険ジャパンでは、代理店を再編させようと強く迫ったことから、代理店が反発し、国会で損保会社が中小代理店に圧力をかけていると問題にもなった。
そんな中であいおいが打ち出した中核代理店制度は、代理店や損保各社から大いに注目を集めた。
大きな特徴は、あいおいの大規模な代理店である総轄代理店を「中核代理店」(対外的には「ADフラッグシップパートナー」)とし、同じ地域にある中小の代理店をその傘下にぶら下げる形にする点だ。
その上で中核代理店は、保険料収入の増収が徹底されるほか、もともとあいおいの支店などの営業拠点が行っていた、営業予算管理やコンプライアンス研修・教育、グループ会社である三井住友海上あいおい生命保険の一部業務を担うことになる。
中核代理店制度のスタートで、文字通りその地域の核となる代理店が生まれるため、あいおいの掲げる「地域密着の活動」「地方創生」を進めることができると、あいおいは説明する。
だが一方で、中小代理店からはあいおいによる管理・統制強化とも受け取られている。
加えて、もともと営業拠点が行っていた業務を、人員も含めて中核代理店に移すため、コスト削減を狙っているのではないかとの見方もある。
新納啓介社長は4月、この中核代理店制度のスタートとともに社長に就任した。中核代理店制度について、代理店から漏れる不安の声にどう答えるのか。
4月スタートで66店
呼び名は「ADフラッグシップパートナー」
――中核代理店制度が22年4月から始まりましたが、御社の損保プロ代理店の中には、総轄代理店から中核代理店へ移行するところもあれば、移行しないという代理店もあるようです。そのあたりはどのように捉えていますか。
4月から制度をスタートして、総轄代理店からの移行が24店、直資代理店(あいおいの直営代理店。あいおいニッセイ同和インシュアランスサービス:ADIS)からの移行は42店、合計で中核代理店は66店です。実は中核代理店という呼び方は社内用語でして、対外的にはADフラッグシップパートナーという呼び方にしました。