台湾・損保のコロナ保険危機、日本の保険会社が学ぶべき教訓【後編】

新型コロナウイルス感染症対策の優等生といわれた台湾。だが昨年、コロナ保険を提供した損害保険会社が、相次いで資本不足に陥る前代未聞の事件が発生していた。後編である本稿では、その原因を分析し、日本の保険会社、ひいては他業界にとっても参考にすべきリスクマネジメントの要諦を探った。(福岡大学教授 植村信保)

[台湾損保業界がコロナ保険に走った理由(1)]
政府の政策変更リスクを考えていなかった

 前編では、台湾の損害保険業界がリスク度外視でコロナ保険の販売に傾注し、主要損保会社が資本不足に陥った経緯を振り返った。後編である本稿では、その原因を分析し、日本の保険会社、ひいては他業界にとっても参考にすべきリスクマネジメントの要諦を述べていく。

 台湾損保業界がコロナ保険に走った理由として真っ先に指摘すべきは、政府の政策変更リスクを考えていなかったことだ。次ページから、詳しく解説していく。