3年後・5年後・10年後の年収予測に加えてシミュレートが必要なのは、個人としてのライフステージの変化です。人生には進学・就職・結婚・子どもの誕生・マイホーム購入・子どもの教育と進学……などのさまざまなライフステージがあり、それに伴ってお金の使い方や生活の仕方が大きく変わってきます。

 そのすべてを予測するのはもちろん不可能ですが、子どもがいる場合の進学の時期は今から分かります。公立校に通わせるのか、私立校に通わせるのか、そのために塾はどうするかなどは早い段階から検討が可能です。また家族の間でマイホームに関する計画があればそれもシミュレートに加えるべきです。また配偶者の働き方の変化によっても世帯収入は変わりますから、そういった事項についての話し合いやリサーチも必要です。

 私の場合はとにかく予想できる数字はすべて算出して比較表に盛り込みました。またライフステージの時期も重要です。○年後には子どもが受験するので引っ越しはしないほうがいいとか、□年後には妻が職場復帰するので世帯年収が□□□万円アップするとか、できるだけリアルなシミュレーションを心掛けました。

書影『展職のすすめ 人生のバリューを上げるキャリアアップ転職の秘訣』(幻冬舎メディアコンサルティング)『展職のすすめ 人生のバリューを上げるキャリアアップ転職の秘訣』(幻冬舎メディアコンサルティング)
石合信正 著

 今思えばあのときのシミュレーションは必ずしも正確ではありませんでしたが、将来をシミュレートすることで自分にとって大事なこと、家族にとって大切なことなど私が働くうえでのさまざまな付帯条件が見えてきました。そうやって自分の転職について多角的な視点をもつことができ、さらにそれを家族と共有することで自分でも正しい選択ができたのではないかと思っています。なんといっても、現実に在籍している会社のリアリティを最後までベースケースとするのは大事なことです。

 今の時代であれば他社に勤務した場合の年収などについてもインターネット検索などで容易に予測できます。当時と比べれば、うらやましい限りです。転職など働き方の選択に迷ったら、自分だけでなく家族も含めた3年後・5年後・10年後をぜひシミュレートしてみてください。きっと今まで見えていなかったものが見えてくるはずです。