20年以上多くの読者に選ばれ続けてきた大学案内大学図鑑!』が今年もパワーアップして発売された。現役生・OB・OGら5000人超のナマの声によってつくられた本書は他の大学選びのひとつの手段として選ばれている。本記事では最新版である『大学図鑑!2024』の出版を記念して、内容の一部を抜粋し再編集してお届けする。(本記事は2022年12月時点に執筆した『大学図鑑!2024』をもとにしています)

大学生Photo: Adobe Stock

 京都大学は京都市内北東部の広大な吉田キャンパスを拠点とする。他に2つのキャンパスもあるが、ほとんどの京大生は吉田のどこかの構内で過ごしているから、実質的には学部割れ、学年割れのない理想的な大学環境だと言える。

吉田キャンパス

 京阪線出町柳駅から徒歩約15~20分、京都駅からバスで約35分の地に位置するも、「時間の流れが違う感じで居心地がいい」(理学部院生)とおおむね好評。繁華街からは離れているが、キャンパス周辺には味のある喫茶店や食堂が並ぶ。

 キャンパスは、公道を挟んでいくつかの構内ブロックに分かれている。「医学部構内は知的、北部構内も理学部独特の空気が溢れている。それに比べて本部構内と吉田南構内は騒々しい雰囲気」(総合人間学部生)。

 正門前や百万遍交差点に設置され、京大らしい光景を作っていたタテカン(立て看板)は、大学が京都市から景観条例にもとづく行政指導を受けたことを発端に、2018年5月、強制撤去された。しかし問題は収束せず、2021年4月には京都大がタテカンを撤去するのは表現の自由の侵害として、京大職員組合は京大と市を相手取り、慰謝料を求めて京都地裁に提訴するなど争いは続いている。一方で、入試日には例年受験にからめたネタ看板が出没し、毎年「折田先生像」と共に話題になっている。

 吉田キャンパスのシンボル、厳かで趣ある百周年時計台記念館と大きな楠は京大生の待ち合わせ場所。百周年時計台記念館内には洒落たフレンチレストラン、購買部があり、そこそこ広く商品も充実。学食はキャンパスの各エリアにあり、「北に行くほどおいしくなる」と言われている。北部食堂には注文を受けてからオムライスなどの料理を作るオーダーコーナーがあるためかもしれない。

 古かった建物は改修され、レンガ色の校舎が並ぶ風格漂うキャンパスを、学生の自転車が行き交う。附属図書館には無線LANが使える24時間開放(毎朝8時半~9時半は清掃のため閉室、土日祝日の利用は10時~19時)の自習スペース「学習室24」があり、「校内に泊まっている」学生もいる。