決算書で読み解く! ニュースの裏側 2023夏#16Photo:PIXTA

メガファーマ(巨大製薬会社)のリストラは、「早くてウマい」。特集『決算書で読み解く! ニュースの裏側 2023夏』(全27回)の#16では、エーザイや中外製薬、大正製薬ホールディングスといった国内製薬会社と米ファイザーやスイス・ノバルティスを財務で比較し、リストラにおけるメガファーマの「早さ」と「ウマさ」、そして国内勢が「変貌」する様を明らかにした。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

「週刊ダイヤモンド」2023年6月24日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

ヤンセン日本法人の失敗はあるも
メガのリストラは「早くてウマい」

 米ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマの日本法人で昨秋から実施された大量リストラは、業界内で失敗策と評されている。

 というのも、外資では退職勧奨を毎年行うところもあるが、せいぜいその規模は数十人。故に解雇が難しい日本法人であっても、指名による退職勧奨が受け入れられてきた。

 ところが、今回のヤンセン日本法人の人員削減はそのレベルになく、400人規模。にもかかわらず、従来に近いやり方で指名解雇とも受け取られるような退職勧奨を敢行。業績良好な部門や成績の良い従業員もターゲットとなったことから、従業員の一部が反発。労働組合を結成する事態に発展したのだ。

 希望者を募る退職者募集を実施すればよかったものを、日本でのやり方を理解していなかったといえよう。

 しかし、である。世界で見れば外資はリストラをやり慣れており、総じて国内勢よりも「早くてウマい」。それは損益計算書(PL)を比較するだけでもよく分かる。

 次ページでは、世界メガファーマ(巨大製薬会社)である米ファイザーやスイスのノバルティス、国内勢のエーザイや中外製薬、大正製薬ホールディングス(HD)それぞれのPLを比較。すると、リストラにおけるメガファーマの「早さ」と「ウマさ」が鮮明となった。

 さらに、国内勢のリストラがまるで外資のような姿勢に「変貌」していく様も明らかにしていく。