多発する自然災害による停電やエネルギー価格の高騰、環境への配慮など、電力供給に関する課題が噴出する中、太陽光エネルギーを活用し、“電気の自給自足”を実現する新たな事業が話題を呼んでいる。福島県のACDCが開発したエネルギーマネジメントシステム(EMS)を核とする「でんきの地産地消システム」だ。(取材・文/大沢玲子)
同社は戦後間もない1946年に創業。地域に根差し、「電気設備や消防設備の工事、太陽光パネルの設置、各種メンテナンスや保守点検など幅広く電気関連事業を展開してきました」。2003年より代表取締役を務める菊池吉浩氏は語る。
地域密着型の老舗企業が、新たな分野に乗り出す転機となったのが、11年3月11日に発生した東日本大震災だ。
津波による福島第一原子力発電所の事故をはじめ、変電施設など電気関連のインフラが被災。同社が位置するエリアも大規模な停電に見舞われた。「電力会社だけに依存している環境、かねてから違和感のあった固定価格買取制度(FIT)によりブームとなっていた太陽光発電の在り方にも強く疑問を感じるようになりました」と菊池氏。
投資目的ではなく、安心・安全な太陽光エネルギーをもっと有効に活用できないかと考え、「エネルギーを自分で作って、自分で使う」を実現する独立電源システムを構想。12年から開発を開始する。
発電状況や電力使用量を
見える化するEMS開発
当時、太陽光発電といえば、「売電でもうける」というのが主流だった中、「エネルギーの自給自足という構想を理解してもらうことに苦労しました」と菊池氏。