前述の通り、魚の卸売価格は40%以上下がり、水産者の団体では「韓国の水産物は安全だから誤った情報に動揺しないでほしい」と訴えている。

 3日に民主党が釜山で行った集会では、李在明代表が「汚染水は事実上の核廃棄物だ。核放射性物質が海水に混じっていれば、誰が海雲台を訪れてホヤを食べるだろうか」「韓国の漁業関係者は全員死ぬ」と訴えた。

 これに対して韓国水産業経営人中央連合会は6日から「韓国の水産物は安全だ。一部の扇動家たちによる間違った情報やフェイクニュースを徹底して見極め、落ち着いて対応してほしい」と呼びかけるなど、李在明代表の訴えは反発を招いている。

 朝鮮日報は17日付の社説で、民主党と一部のテレビ番組が絶えず「汚染水の海洋放出は国民の健康にとって脅威になる」との「怪談を広めている」と指摘した。

 民主党は「怪談」で国民の恐怖を増幅させる一方、「漁業関係者被害支援特別法を作る」と主張している。一見すると漁業関係者のためのように聞こえるが、実際にはこのような法案発議がむしろ恐怖をあおる結果となっている。

 韓国政府は国民の懸念を解消したいとしており、新型コロナウイルス発生時のように週末を除く毎日会見を開くことにしている。

処理水の安全性が立証されるだけでは
輸入禁止措置は解除されない

 日本からの魚介の輸入は2カ月連続で減少し、5月には前年比30.6%減となった。12日から東京電力が処理水を海洋放出する設備の試運転を始めたことで、韓国国内の不安観が強まっている。

さまよえる韓国人『さまよえる韓国人』(WAC)
政権交代後も『さまよえる韓国人』は続くと解説した話題本。発売中

 とはいえ、福島県など周辺8県からの輸入は全面禁止されている。海洋水産部の宋相根(ソン・サングン)次官は16日の会見で「放出される汚染水が科学的に安全だと立証されても、それとは別に福島水産物の安全性が立証されなければ輸入禁止措置を解除することはできない」と強調した。

 福島周辺の水産物の輸入を禁止している韓国が、日本の処理水放流に併せて輸入を解禁するなどという主張が、そもそも民主党のデマ政治を実証している。

 韓国国民には冷静に処理水放流に向き合ってほしいと思う。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)