キャリアと所属組織を通じたウェルビーイングを重要視する次世代の働き手たち

 本稿の冒頭で触れた通り、今後の働き手の中心を担う若年層ほど自身の幸福を追求できる職場環境を求める傾向にあることが確認されている。ではその具体的な中身は何なのだろうか。それを探るために、次世代の働き手の中心を担うY・Z世代(本調査n=2,085)、X世代(本調査n=1,836)にフォーカスを当てて、働く上で重要視しているウェルビーイングの特定を目的に検証を行った。

 働く上で重要視しているウェルビーイングの特定にあたっては、ギャロップ社が提起する5つのウェルビーイングタイプ(Career/Social/Financial/Physical/Community)を踏まえた上で、計15項目の要素を今回の調査用に独自にピックアップし、Y・Z世代とX世代を比較することとした。なお、本調査ではX世代は1964~1981年に生まれた者、Y・Z世代は1982年以降に生まれた者と規定した上で分析をしている(図表2)。各回答項目についてのY・Z世代の回答率からZ世代の回答比率を引いた、差分%ポイントである。プラスであれば、Y・Z世代の方がZ世代よりも、その項目に関して相対的に重視していることを示している。

 小項目によってスコア変動はあるものの、日本・米国・中国を中心に若い世代ほど「仕事内容や仕事によるやりがい、成長状況など」「社会に与える影響・インパクトの大きさなど」「良質な学びと能力開発の機会があることなど」といった自身の仕事・キャリアを通じたウェルビーイングや、「組織風土や仕組み・制度など」「企業が標榜するパーパス(存在意義)など」といった所属組織を介したウェルビーイングを働く上で重視する傾向にあることを確認した。

 今後働き手の中心世代がY・Z世代にシフトしていくにあたって、企業や職場の評価・選択軸となるY・Z世代が働く上で重視するウェルビーイングの考慮や対応をいち早く行っていくこと、さらには働き手に対して認知・理解浸透を図っていくことが、働き手から選ばれるために必要となるのではないかと我々は考える。