校長の指標で大切な視点は
「アセスメント」と「ファシリテーション」

 校長の指標として次が挙げられています。

 校長に求められる基本的な役割は、大別して、学校経営方針の提示、組織づくり及び学校外とのコミュニケーションの3つに整理される。これらの基本的な役割を果たす上で、従前より求められている教育者としての資質や的確な判断力、決断力、交渉力、危機管理等のマネジメント能力に加え、これからの時代においては、特に、様々なデータや学校が置かれた内外環境に関する情報について収集・整理・分析し共有すること(アセスメント)や、学校内外の関係者の相互作用により学校の教育力を最大化していくこと(ファシリテーション)が求められる。

 校長の指標で大切な視点は、「アセスメント」と「ファシリテーション」です。

「教育評価」と誤認されることの多いアセスメントですが、正しくは「教育測定(調査等)であり、「さまざまなデータや学校が置かれた内外環境に関する情報について収集・整理・分析し共有すること」であり、カリキュラム・マネジメントの側面の一つであるPDCAサイクルそのものです。

書影『幸福感に満ちた学校をつくる』(東洋館出版社)『幸福感に満ちた学校をつくる』(東洋館出版社)
塚田昭一 著

 こうした点からも、校長はこれまで以上にデータを収集・整理・分析し、その調査結果(エビデンス)に基づいて学校経営にあたらなければならないことが読み取れます(経験則に頼るばかりでは学校経営を誤ります)。

 私が勤めていた野寺小の学力向上策は、「埼玉県学力・学習状況調査」結果(データ)に基づいて行っていましたが、これはまさに「アセスメント」にほかなりません。また、ファシリテーションについては、「校内組織の活性化」や「相互協力体制」、「地域との協働による学校全体の教育力向上」と対応関係にあるものです。

 先生方が、自走する子どもたちの学習を扶ける伴走者であるとすれば、校長は、先生方がやりがいをもって職務に専念できるようにする伴走者だと言えるでしょう。