ついでに言うと、ファンドが10兆円だろうと20兆円だろうと、公的年金基金のような大がかりな組織を持つ必要はない。日銀の上場投資信託(ETF)保有はもっと巨額だが、その管理のためだけに数十人単位の専門の組織があるとは聞いていない。期待値としてうまくいかなくて確実に手数料が高いのだから、アクティブ運用は必要ない。他の機関投資家でもうまくいっていない。

 研究する価値があるとすれば、インデックス運用自体の改善だろう(現時点で、決して絶対的にベストなものではない。相対的にマシなだけだ)。運用資産のリスクは大きくても、運用の組織は小さくていい。

堂々とリスクを取り
ダメなら補填せよ

 大学への助成は早い方がいいし、金額が大きい方がいいし、金額は安定している方がいいだろう。毎年3000億円、4000億円、と言いたいところだが、例えば「毎年2000億円助成する」と決めたらいい。利益が出たらその中から助成するなどという中途半端な姿勢は、国益に沿わない。

 例えば、資産の90%をグローバル株式に投じて運用すると、「長い目で見た平均としては」年率2%(10兆円に対して、毎年2000億円)よりも高い運用利回りが期待できよう(そう思っているからこその大学ファンドなのだろうし)。短期的な変動は気にせずに、毎年2000億円をファンドから助成したらいい。

 そのうちに、ファンドの資産額は10兆円を超えて成長していくことが期待できる。これが一つの場合であり、最もありそうなケースだ。

 しかし、そうならない場合もあるだろう。例えば、世界の株価が2~3割下落して、資産が10兆円を大きく割り込むような事態があるかもしれない。そうした場合は、国家財政から補填する仕組み(多年度に分割してもいい)を作っておくことだ。ファンドの幹部がなすべき最大の仕事は、この仕組み作りだといっていいだろう。