不運にして何度かの補填があった場合も、ファンドの職員は恥じる必要がない。あなた方が動じないでリスクを取り続けて大学に助成を続けたことが、大いに日本のためになっているのだから胸を張ったらいい。ケチな財政から有効なお金を引っ張ってくれたことに対して、物の分かる国民は感謝するはずだ。

 やがて、ファンドは10兆円を大きく超えて育ち、過去の補填は「あの時は、世間が騒いで大変だったのだよ」という思い出話になるはずだ。

 このとき、大学ファンドを評価する際のベンチマークは「全世界株式のインデックス」一本にするのがいいかもしれない。つみたてNISA(少額投資非課税制度)で全世界株式のインデックスファンドを持っている個人投資家がたくさんいるから、世間に理解者が多い。さて、大学ファンドは、果たして個人投資家の運用成績に勝てるだろうか。

 現実の大学ファンドには「55%グローバル債券」などというあほうな方針をさっさと放棄して、10兆円を「直ちに」フル活用してもらいたい。国民に無駄な機会費用を払わせるな。

 付け加えるが、運用に無駄があることの理由(言い訳)を制度に求めないでほしい。作りたての組織なのだから、運用にとって非合理的な仕組みは(例えば助成の原資のルール)、仕組みの方を修正すべきだし、そうしないとすれば、初期のメンバーの責任であり、この責任は重い。

「目を覚ませ、大学ファンド!」