日本ではマイナンバーカードの導入をめぐり、国民から否定的な声が上がっているが、お隣の韓国では日本のマイナンバーカードに当たる「住民登録証」と、そこに記された13ケタの「住民登録番号」を利用することが根付いて数十年たっている。行政や医療機関など、さまざまな手続きがオンライン化されて便利に使えるのも、この仕組みがあってこそだ。韓国では住民登録証がどのように使われているのか、韓国在住の日本人ライターが解説する。(韓国在住ライター 田中美蘭)
6月、改正マイナンバー法が成立したが……
6月2日の参議院本会議で、行政のデジタル化を進めるための改正マイナンバー法が可決、成立した。マイナンバーカードと保険証を一体化する、マイナンバーの利用範囲を拡大するなど、今後、日本でも身分証明の役割を果たすマイナンバーカードの活用が本格化されることとなる。
しかし、国民からは個人情報の漏えい、悪用を懸念する声が上がり、受け入れに否定的な見方の人も一定数いるようだ。現にコンビニでマイナンバーカードを使ったら、誤って他人の戸籍謄本や住民票が出力されたなどの不手際も各地で多数確認され、不信感が強まるとともに、メリットを感じられないという指摘もある。
一方、日本のマイナンバーカードに当たる「住民登録証」が既に定着している韓国。17歳以上の国民、および韓国に永住もしくは長期滞在する外国に個人を識別する13ケタの番号(住民登録番号)を振り当てられる他、指紋登録が義務付けられている。韓国で「住民登録証」がどのように根付き、役割を果たしているのか、またそこに見える日本と韓国の個人情報やオンライン化に対する温度差について探っていこう。