1万件を超える「幼児から高校生までの保護者の悩み相談」を受け、4000人以上の小中高校生に勉強を教えてきた教育者・石田勝紀が、子どもを勉強嫌いにしないための『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』を刊行。子どもに失敗してほしくない、教育熱心な人ほど苦悩を抱える大問題への意外な解決法を、子育てを「動物園型」「牧場型」「サバンナ型」にたとえて解説します。
子どもは親とは違う才能を持った人間と心得る
まず大前提として、子どもは親の思い通りには育ちません。
このことを自覚せず、子どもを思い通りにしようとしてしまう人はとても多いです。
同じ親から生まれたきょうだいでも、才能や個性は異なりますよね。ですから、子どもをよく観察して、その子にしかない才能と個性を見つけて伸ばしてあげるのが親の役目です。
たとえば、放っておくとお絵描きばかりしている子は、他のことを無理矢理やらせず、本人が満足するまでお絵描きさせてあげるといいでしょう。
高校や大学の進路も、本人に決めさせると芸術系を希望するかもしれませんし、将来は芸術的センスを生かすクリエイターやデザイナーになるかもしれません。
教育熱心な親ほど不安や焦りを感じて、幼児期から英語、プログラミング、スイミング、ピアノ、公文式など、ありとあらゆる習いごとをさせています。
小学校受験をする場合は、これに幼児教室や体操教室なども加わります。
「親の安心感」より「子どもの才能」を重視できるか
もちろんどれも無駄な経験ではありませんが、本人が楽しんでやりたがることでなければ、親が気づいていない別の才能の芽を潰してしまう可能性があります。
親が「もっと、もっと」という思いで一方的に子どもにやらせていることは、子どものためというより「親の安心感」のためです。
幼少期は我慢して親の言うことを聞いていた子どもも、成長するにつれて好き嫌いの意思がはっきりしてきます。親が無理矢理やらせたことは、嫌いになるか関心を示さなくなるものです。
ですから、まずは親の理想は捨てて、子どもが好きなこと、やりたいことを聞いてあげてください。
そして、本人の希望に沿った選択肢を出して、何をするか決めさせます。
親が望むことではなく、本人が望むことで才能を伸ばしてあげましょう。
*本記事は『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』から、抜粋・構成したものです(次回へ続く)。