日経平均がバブル後最高値を更新した。だが、「将来のお金の問題が不安だ」「投資が大切だと漠然とわかっているが、なかなか行動に踏み切れない」「貯金や投資を始めてはみたものの、自分の方法が正しいかどうか確信が持てない」──そんな悩みを抱えていないだろうか? そんな人に朗報がある。
全世界350万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルが「ニックのように、データの真の意味を理解できるデータサイエンティストでありながら、説得力のあるストーリーを語れる人はまずいない。絶対読むべき一冊だ」。全世界1000万部突破『Atomic Habits』著者ジェームズ・クリアーが「お金に関する価値ある知恵と実践的なアドバイスが満載」と強力ダブル推薦する注目書がついに日本上陸。
全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。
全米屈指のデータサイエンティストによる、お金を貯め、富を築くための証明済の方法を初公開。本稿では、本書から一部を抜粋・編集しながらFIREをすべきか、やめるべきかについて見ていこう。

【全米屈指のデータサイエンティストの告白】「FIRE」をすべきか、やめるべきか?Photo: Adobe Stock

「FIRE」を考えるときに大切なこと

 リタイアは単なる経済的な問題ではなく、ライフスタイルの問題だ。

「いつ」リタイアできるかを知るには、「何のために」リタイアするのか、よく考えておかなければならない。

 リタイア後の時間をどんなふうにすごしたいか?
 どのような人づき合いを望んでいるか?
 リタイア生活で一番大切なことは?

 これらの問いに対し納得のいく答えを導けたら、幸せなリタイアができるだろう。

 あいまいな答えしか浮かんでこないなら、せっかくリタイアしても、失望したり、失敗したりしてしまうかもしれない。いくら経済的にうまくいったとしても、心身の健康が満たされていなければ意味がないからだ。

 私が「FIRE(financial independence retire early/経済的自立、早期リタイア)ムーブメント」をあまり好きではないのはこのためだ。

 確かに、世の中には35歳でラットレースから抜け出し、働かない人生を楽しめる人もいる。だが、それを難しいと感じる(経済的な理由ではなく)人も大勢いる。

実際に「FIRE」した人の告白

 たとえばテレンス(仮名)という男性は、リタイアして自由に好きな場所を移動しながら暮らす「FIREノマド」としての生活がどんなものかを、オンライン上でFIREムーブメントについて議論した後、ツイッターを通じて私に説明してくれた。

 テレンスは2年前にリタイアし、現在はバケーションレンタルサイトの「エアビーアンドビー」を利用し、1~3ヵ月単位で世界各地を転々としている。そのライフスタイルは多くの人に華やかでうらやましいと思わせるものだ。

 だがテレンスは、

「孤独を感じている。たいていの人はこの生活を楽しめないだろう」

 と言った。

「FIREノマド的なライフスタイルを受け入れるのは、自分はもはや世の中にとって重要な存在ではないと受け入れることである。
 存在しているのかしていないのかわからない、手応えの感じられない世界で生きていかなければならないのだ」

お金は人生でほしいものを手に入れる「道具」

 これは考えようによっては、とても怖いことだ。

 FIREをすれば誰もがテレンスのように感じるわけではない。

 だが、早期リタイアでこのようなデメリットが生じうるのは確かだ。

 テレンスのケースは、重要な真実を示している。

 お金は多くの問題を解決できる。

 だが、すべての問題は解決できない。

 お金は人生でほしいものを手に入れる道具にすぎない。

 そして残念ながら、人生に何を求めているのかを本当に理解するのは簡単ではないのだ。

(本稿は『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集したものです)