投資家は、株式や債券のリターンがせいぜい平凡な水準にとどまる時代が長引くのではないかと懸念し、商品(コモディティー)への分散投資が得策かどうかを思案する人もいる。歴史を振り返ると、それを勧める材料はあまりない。保守的なポートフォリオについて考えてみよう。S&P500種指数に60%、投資適格級債券に40%の比率で配分するのが常道だが、そうではなく両資産から5%ずつ取り分け、計10%を上場投資信託(ETF)「インベスコDBコモディティー・インデックス・トラッキング・ファンド(DBC)」に投資したとしよう。するとDBCの設定以来2022年までの16年間(暦年)に、毎年リバランスされるこの3資産(株式・債券・DBC)ポートフォリオは、60対40の債券・株式ポートフォリオに比べ、リターンが年率換算で0.4ポイント下回った。前者のポートフォリオは、保守的な60対40配分よりもボラティリティー(変動性)がやや抑えられたが、リターンで劣るのを正当化するほどではなかった。