格付け会社フィッチ・レーティングスは先週、米国債の信用格付けを最上位の「トリプルA」から引き下げたが、多くはこれを一蹴した。スタンダード&プアーズ(SP、現SPグローバル・レーティング)も2011年に格下げしており、この時債券利回りは低下した。米国債への需要は低下するどころか高まったわけだ。だが今回、債券利回りは上昇した。フィッチの引き下げが注目に値するのは、それが何か新しいことを教えてくれるからではなく、今の米国の財政がどれほど様変わりし、リスクが高いかを示す新たな兆候だからだ。リスクとは、2010年のギリシャや1994年のメキシコのように、米国が市場から締め出されるような債務危機ではない。自国通貨建てで借り入れができる成熟した国では、それは実質的に起こりえない。そうではなく、財政赤字と金利が双方に跳ね返り、経済成長と納税者への重荷が増えるというリスクだ。