北朝鮮側の参加者で
注目される人物

 プーチン氏は金正恩氏との会談に先立ち、「北朝鮮の人工衛星開発を支援するか」と記者団から問われ、「そのために我々はここ(宇宙基地)にいる。(金正恩氏は)ロケット技術に大きな関心を示しており、宇宙開発も進めようとしている」と述べた。

 また、兵器取引についても協議するかと問われ、「すべての課題を論議する」と述べた。プーチン氏は、金氏に宇宙基地を案内し、ロシアの新たなロケット「アンガラ」を組み立てている工場を一緒に視察した。

 そして会談後にプーチン氏は、軍事協力について問われ、「一定の制約はあるが、考えられることは確かにある」と前向きな姿勢を示した。

 朝ロ首脳会談の詳細についての正式な発表はまだないが、注目すべきは北朝鮮側の参加者である。崔善姫(チェ・ソンヒ)外相、軍序列1位の李炳哲(リ・ビョンチョル)労働党中央軍事委員会副委員長、同2位の朴正天(パク・ジョンチョン)労働党軍政指導部長のほか、衛星、潜水艦、砲弾分野を担当する軍幹部が含まれている。

 韓国統一院は、前回の訪問時と比べると軍事分野の担当者の随行が多いと分析している。中でも注目されるのは、党で軍需工業部長を務める趙春竜(チョ・チュンリョン)氏である。同氏は金正恩氏の軍需工場視察に常に同行していた。

 今回のロシア訪問が武器取引を含む軍事協力であることを露骨に示したものである。

 会談後の夕食会で金正恩氏は「われわれは覇権を主張し、膨張主義者の幻想を育てる悪の結集を罰し、安定した発展環境を作るために神聖な闘争を行うロシア軍と国民が、偉大な勝利を収めると明確に確信する」と述べ、ロシアのウクライナとの戦争を支持した。

 金正恩氏はまた、「朝鮮半島や欧州の政治状況について話し合った」とし、重要な時期に行われたロシア訪問が「両国関係を壊れることのない戦略的協力関係に転換する重要な機会になると確信している」と述べた。

 こうした発言からも朝ロ関係に画期的な変化があったことは間違いないだろう。