本業では、自己実現が果たしにくいという事情

 副業がトレンドになっている背景には、学校を卒業してそれなりに苦労して入った会社でやっている本業では、自己実現が果たしにくいという事情もあります。

 つまり、本業ではやりたいことがなく、やりがいも感じられないからこそ、副業でそれを叶えたいという人が大勢出てきているのです。

本業と副業の違いを明らかにするための「4つのマトリックス」

 そこで、本業と副業の違いを明らかにするために、次のような4つのマトリックスで説明してみたいと思います。

本業と副業の違いを示す4つのマトリックス(『やりたいことは「副業」で実現しなさい』より)

 縦軸には「やりたい」かどうかを取り、横軸には「収益性」を取ります。

 収益性とは、端的にお金になるかどうかです。

 縦軸では、上にいくほど「やりたい」という度合いが高まり、横軸では右側へいくほど「収益性」が高まるとします。

 結論から先に言うと、下段のCとDの2つは副業向きではありません

 まず、副業で絶対選んではいけないのは、左下のDです。

 Dはやりたいことでもなく、収益にもつながらないことです。この選択は、副業に興味がなくても、誰でも納得してもらえると思います。

「ライスワーク」と「ライフワーク」

 ではお隣、右下のCはどうでしょうか。

 これは、やりたいことではありませんが、収益性が高く、お金になる仕事です。これを俗に「ライスワーク」といいます。ライス、つまり食い扶持を得るために行う仕事という意味です。

 多くの人は、仕事は自己実現の手段の一つだと考えているでしょう。それは間違いではないのですが、本業にそれを求めるのは実はお門違い。本業はお金のためにするライスワークでいいのです。

 このマトリックスで、右上のBはやりたいことであり、収益性も期待できるもの。それが本書で推奨している副業です。

 これこそが「ライフワーク」一生を通じて続けたい仕事です。自己実現は、本業ではなく副業で叶えるのが正解なのです。

 では、その隣、左上のAはどうでしょうか。これはやりたいことですが、収益性は期待できないもの。お金にはなりませんから、無料の趣味・ボランティアとして行うことは推奨できます。

 会社が副業を許容していない場合、左上のAの領域で行うしかありません。でも、その体験が将来の独立・起業につながることも少なくないのです。

 本連載では、このうちマトリックスのBを中心に語りたいと思います。