日本海でロシアのバルチック艦隊をせん滅し、日露戦争を勝利に導いた東郷平八郎を「軍神」として祭る東郷神社。その境内は、国内外の巨額マネーに翻弄された歴史が刻まれている。特集『巨大宗教 連鎖没落』(全20回)の#3は、TBSテレビや住友商事ら日本企業の他、大物ファンドも登場した知られざる歴史をひもとく。(フリーライター 村上 力)
米エリオット創業者も参拝!?
軍神祭る神社にマネー乱流
2017年、東京・原宿の竹下通りに近い東郷神社を、意外な人物が訪れた。米アクティビストファンドのエリオット・マネジメントを率いるポール・シンガー氏だ。
軍神とアクティビスト――。この奇妙な取り合わせは、東郷神社の敷地内にそびえ立つ超高層ビルがつないだ。
現在、東郷神社の敷地には、2棟の高層ビルが立つ。警備大手セコム本社が入る地上18階建てのセコム本社ビルと、23階建ての神宮前タワービルディングだ。この場所に相次いで高層ビルができたきっかけは、TBSテレビである。