ここは発想を変えましょう。今の生活に「がんばってプラスする」のではなく「余計なことをやめる」または、今ある生活習慣を「少し変える」のです。

「Less is more(レス・イズ・モア)」という言葉をご存じでしょうか。近代建築の3大巨匠のひとり、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエの言葉とされており『少ないほうが豊かである』ことを意味します。

 やみくもに足していくよりも、研ぎ澄まされた、本当に必要なものだけで構成するほうが豊かであるという考えは、美容にも通ずることです。

 これまで「当たり前」と思い込んできたことを、一度リセットしてみてください。各種メディアで当然のメソッドとして喧伝される「美容法」や「テクニック」のなかには、医師からすると「それはむしろやめるべき」と思えることもたくさんあります。

 化粧水やクレンジング剤は本来、肌に必須ではありません。そこにお金や労力をかけるなら、日差しを避けるために帽子をかぶるとか、美容室で髪を切るついでに眉カットもオーダーするといった、もっと効果的でコストパフォーマンスの高いことに費やしてほしいのです。

 また「スクラブ入り洗顔剤を→純せっけんに変える」といった工夫は顔を洗うという習慣自体はそのままで、その内容を少し変えるだけですからゼロから始めるのと比べれば、心理的な負担や実際にかかる労力はそう大きくないはずです。

「できるだけ負担は軽く」それでいて「効果は最大限」。男性美容がねらうポイントは、まさにこれです。

半年に1回美容クリニックに行くのは
歯医者の定期健診と同じ

「面倒だから」「飽きっぽいから」と言いわけする男性は多いですが、これは目標があいまいだったり、メリットを理解できていなかったりするからではないでしょうか。明確な目標や目に見えて効果を感じられるものに対しては、男性はしっかりと取り組めるものです。

 そのためには、具体的にイメージできることが大事です。当院でも男性の患者さんには、女性のときとは違うアプローチを必要とします。

 男性への説明の仕方として効果を感じるのは、写真や数値といったデータを利用すること。また、診断結果や治療方法など、より核心に近い内容から話を切り出すことも多くあります。