──2022年4月に創業されたそうですね。どんな事業を手がけているのでしょうか?
飯塚 エアコンや冷凍・冷蔵庫で使う冷媒ガスを、環境負荷の低い「自然冷媒」に交換する事業を手がけています。
──自然冷媒とは何ですか?
飯塚 炭化水素やアンモニアなど、自然界に存在する物質を使った冷媒のことです。
かつて冷媒ガスによく使われていた特定フロンは、オゾン層を破壊するとして問題視されていました。近年は、オゾン層を破壊する影響がほぼない代替フロン(R32、R410Aなど)が冷媒に使われるようになりましたが、問題が解決したわけではありません。代替フロンもまた地球温暖化を招く物質で、地球温暖化係数は二酸化炭素の数十倍から1万倍超もあるといわれています。将来的にはこちらも販売停止になるでしょう。そこで、その代わりとして注目されているのが、自然冷媒です。
既存のエアコンや冷凍・冷蔵庫からフロン類の冷媒ガスを抜いて、代わりに自然冷媒ガスを注入し、環境負荷の少ない冷媒ガスに入れ替えるのです。
弊社では、自然冷媒の中でもエアコンと相性がよい炭化水素のガスを使っています。炭化水素は、万が一放出されても環境汚染がありません。家庭用の機器にも業務用の機器にも使えます。
また、機器廃棄時などにフロンガスが回収されずに大気放出されることも問題となっていますが、自然冷媒との交換時にはフロンガスを適切に回収でき、その点も地球温暖化対策につながります。
──環境によいだけでは交換の決め手に欠けると思うのですが?
飯塚 その他にも、お客さまにとって大きなメリットがあります。それは、電気代を大きく下げられることです。
炭化水素の自然冷媒は、フロンに比べて分子が大きく軽いので、フロンの40%の注入量で済みます。その分、コンプレッサーの回転数が抑えられるので、機器への負荷が低減され、消費電力が下がるのです。
昨年の創業以来、弊社では約500台の室外機を施工してきたのですが、エアコンの消費電力が平均で20~35%下がっています。