知識を若者に「投資」することも
教育活動のひとつ

藤野 僕はファンドマネジャーを務めベンチャーキャピタルも手がける投資家であり、明治大学で講師をしています。瀧本さんも、京大や東大で講義を行うかたわら、エンジェル(個人)投資家としても知られていますよね。一般に「投資」と「学生の指導」というのは世間ではまったく別なものと考えられていると思うのですが、実は僕は、教育活動も一つの投資だと考えているんです。
 瀧本さんが京大や東大の学生を指導しても金銭的な見返りはそう大きくないかもしれませんが、瀧本さんの指導を受けた学生たちは、きっと学んだことを活かして社会を良くしていってくれるでしょう。
 そんなふうに、「エネルギーを投入して未来からのお返しをいただくこと」は、すべて投資活動なのだと僕は思います。ところが、日本人の多くは「投資=お金でお金を儲けること」というイメージを持ち、投資を汚いものであるかのようにとらえてしまっていますよね。新刊『投資家が「お金」よりも大切にしていること』や『儲かる会社、つぶれる会社の法則』で私が強く訴えたかったことの一つは、「投資とは本来、非常に意義深いものであり、人生を豊かにしてくれる素晴らしいものだ」ということなんです。

「消費者」視点が市場を動かす!<br />学生よ、自腹で大学へ行きなさい

瀧本 その観点で言えば、私は企業のスタートアップに対して投資することが多いのですが、実はお金を入れることよりも経営へのアドバイスのほうが価値があるもの。ですから、私が主に投資しているのは、お金ではなく時間なんです。

藤野 瀧本さんがエンジェル投資家として投じているエネルギーは、ノウハウやご自身の経験なんですね。

「交渉」とは、仲間を探し出し、連携し
大きな流れを作っていくための武器

瀧本 私はアメリカで大成功した日本人ベンチャー投資家の方をベンチマークにしているのですが、彼に成功の理由を聞いた時、「僕はギブ&ギブ&ギブ&ギブしたからだ」と言われたことを心に留めています。
 その方は、アメリカに渡った当時は英語がまったくできず、「聞けない、話せない、読めない、書けない」状態だったそうなんです。「アメリカ人は『ギブ&テイク』で動くけれど、僕は英語ができなくて誰も相手にしてくれないから、とにかく『ギブ&ギブ』に徹した」と言います。すると、彼がサポートした人たちのネットワークが大きくなり、ネットワーク内のお金や情報の流通量がふえて、ハブであるその投資家の方に何かしらリターンが発生するようになったのだそうです。これは「他者に何かを与えればお返しがあるものだ」という、いわゆる「返報性」の話とは違います。何かを与えた相手からの見返りを期待するのではなく、他者に何かを与え続けることで大きなネットワークを培うことに本質があるんです。

藤野 投資とは結局のところ、「自らの行動によって、世の中を良くすることに加わる」ことだと思います。その投資家の方は、素敵だと思うことにコミットしているうちにネットワークが大きくなっていったということなんでしょうね。確かに、知識や情報や人間関係は、いくら他者に分け与えても減ることがない。それどころか、ノウハウや人との繋がりは、どんどん広げるほど自分のネットワークが育っていくものですから。

瀧本 私が昨年上梓した『武器としての交渉思考』は、実は交渉論をまとった「仲間論」なんです。世の中を動かすことは、自分一人の力ではできません。共に戦う「仲間」を探し出し、連携して、大きな流れを生み出していかなければならない。そこで「仲間」を作るために必要となるのが、他者と自分の利害を分析し調整することで合意を目指す「交渉」の考え方です。さらに言えば、時には自分にメリットがなくても「ギブの精神」で他者をサポートし、未来の仲間をつくっていくことが重要なのだと思います。

取材・文/千葉はるか


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