損保3グループ23年度上期決算、最高益でも自動車・火災で収益性急降下

ビッグモーターなど問題山積でも
メガ損保3グループの上期決算は絶好調

 11月17日に出揃った損害保険大手3グループの2024年3月期の上期決算。ビッグモーター問題や保険料の事前調整を行っていたカルテル、手数料ポイント制度など、かつてないほど損保業界に対する不信感が高まっているのとは裏腹に、業績面では過去最高益を見込むなど好調さが際立っている。

 実際、売上高に相当する正味収入保険料で東京海上ホールディングス(HD)とMS&ADグループHDは前上期から約1700億円の大幅増収となった。SOMPOHDは微減となったものの、通期予想は3グループとも大幅な増収を見込んでいる。

 東京海上HDは通期予想を4兆8900億円に上方修正し、前期比で4201億円の増収。SOMPOHDも同3兆7800億円に引き上げて1093億円の増収、MS&ADグループHDは同4兆1620億円に上方修正し、2276億円の増収を見込んでいる。

 純利益についても好調だ。新型コロナ関連の支払いが減少したのに加え、大型の災害が少なかったためで、東京海上HDは前上期から1000億円超の増益、SOMPOHDとMS&ADHDは共に黒字に転換した。SOMPOHDは2000億円超の増益となり、MS&ADHDは900億円弱の増益となっている。

 通期予想についても、各社ともに過去最高益になるとの見通しは変わらずだ。東京海上HDとSOMPOHDの2社は共に純利益の通期見通しを上方修正し、前期比で2000億円近い増益を見込む。ただし、MS&ADHDは前期比で1000億円超の増益を見込むものの、年初予想の通期純利益は3000億円から200億円下方修正し、2800億円になると公表している。

 各グループが好業績なのは海外事業の伸長が大きいのに加え、円安による円建ての利益を押し上げている。また、海外の金利上昇による運用益の増加も業績に寄与している。

 その一方で、国内の中核事業会社の業績については不安要素が大きい。国内事業で、何が起こっているのか。次ページで詳しく解説していこう。