「外では暴れん坊で家ではいい子」。実は、このようなお子さんは要注意です。25年間で延べ5000名以上のバイリンガルを育成した経験から解説します。(TLC for Kids代表 船津 徹)
「外では暴れん坊、家ではいい子」=要注意
気質は生まれつき備わっているものであり、基本的には一生変わりません。気質とは心理学用語で、人間の性格の中心にある精神・感情面の傾向(強弱)のことです。「活発・おとなしい」「頑固・飽きっぽい」など、強弱によって印象が変わります。
性格もほぼ同じ意味で使われますが、「周囲の環境によって変わる」点が異なります。家庭環境、親の育て方、育つ土地、学校、子ども自身の努力や経験によって変わりやすいのです。
たとえば、海外で育つ日英バイリンガルの子どもは、日本語と英語を話す時に性格がガラリと変わることがあります。日本語を話す時は物静かで優しい雰囲気の子が、英語を話す時はアグレッシブで直接的になったりします。
つまり、環境(集団社会)に適応するために、子どもは成長の過程で性格を作ります。多くの場合、自分が属する集団社会に受け入れてもらうために、ありのままの自分を少しだけ変えています。
気質は変わらないが、性格は環境によって変わるのです。子どもの気質を見極める時は、環境によって形成された性格と混同しないように注意してください。「外ではいい子で家では暴れん坊」という場合、暴れん坊が子どもの気質です。
反対に「外では暴れん坊だが家ではいい子」というケースは要注意です。親に叱られないために良い子という性格を作っている可能性があります。厳しすぎる親元で育てられた子どもに多い傾向です。
気質は子どもが一番安心できる環境でリラックスしている時に現れます。親子関係が良好で、子どもが親を信頼していれば、「家庭で過ごしている時の様子」に子どもの気質が隠れています。子どもが遊んでいる時や、何かに集中している時はどんな様子か。何をするのが好きで、行動にどんな傾向があるのか、観察してみましょう。
子どもが小学生以上の場合は、乳幼児期にどんな性格的な特徴があったのか、思い出してみてください。甘えん坊でお母さんから離れられなかった、何時間も一人で黙々とブロックを作っていた、活発でしょっちゅう怪我をしていた、そんな子ども時代のエピソードの中に「気質」が隠れています。
子育て成功のカギは「強み育て」にある
子どもが社会の変化に翻弄されずに、自分らしく幸せに生きていくには、失敗や挫折に負けない「たくましさ」を確立しなければなりません。一生ものの武器になるたくましさですが、どのように育てれば良いのでしょうか?
たくましさが育つ要因は、家柄、血筋、遺伝ではありません。もちろん親の学歴や職業も無関係です。「子どもの潜在的な強みを引き出すこと」でたくましさは育つと断言できます。
つまり、子育てで最優先すべきは「強み育て」なのです。強みは、音楽でもスポーツでも勉強でも、なんでもいいのです。