新・理系エリート#26Photo:PIXTA

留年や退学をせず、どれだけの学生が薬学部入学後6年で卒業できたかを示す「卒業率」。この卒業率の低さを国は問題視しており、文部科学省は毎年公表している。特集『新・理系エリート』(全59回)の#26では、全74薬学部の「在学6年間での卒業率」ワーストランキングを公開。1、2位を同じ経営母体の薬科大学が独占した( ダイヤモンド編集部 野村聖子)。

国家試験合格率で覆い隠す実態をあらわに
「6年間の卒業率」ワーストランキング

「4年次まで進級しているにもかかわらず、総合的な学力不足を理由にその後の年次の留年の割合が高く、標準修業年限内での卒業率が低い大学も存在する」――。

 文部科学省が昨年8月に発表した「6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ」には、標準修業年限内、つまり在学6年間での卒業率の低さを指摘する上記の文言が盛り込まれた。

 なぜ国は在学6年間での卒業率を問題視するのか。

 6年制の薬学部を志望する学生が大学選びで最も重視するのは、薬剤師国家試験合格率。薬剤師を目指しているのだから至極当然ではある。問題は私立大学で、国試合格率を上げるために、合格が難しそうな学生を留年・退学、もしくは卒業試験に落第させたりして、国試を受験させないという所業が横行していることだ。

 つまり宣伝されている国試合格率は、必ずしも大学の質を反映していない。だからこそ、文科省は毎年全薬学部の在学6年間での卒業率を公表し、国試合格率で覆い隠されたその実態をあらわにしているのだ。

 次ページでは、最新の文科省の資料を基に作成した、全74薬学部の「在学6年間での卒業率」ワーストランキングを公開。1、2位は同じ経営母体の薬科大学が独占した。