新・理系エリート#27Photo:PIXTA

私立大学の薬学部では、合格の見込みのない学生に薬剤師の国家試験を受験させないことで全体の合格率を上げる手口が横行しており、大学が公表する合格率は必ずしも実態を反映していない。留年者などを含めない大学在学6年での合格率こそ薬学部の真の実力だ。特集『新・理系エリート』(全59回)の#27では、全74薬学部の「2017年入学者における6年間での薬剤師国家試験合格率」ワーストランキングを公開する。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)

「在学6年ストレートでの国試合格率」
ワーストランキング

 薬学部が入学案内などで実績として公表している「薬剤師国家試験合格率」。この数字は、必ずしも真の実力を表していない。というのも医・歯・薬科系の私立大学では、成績の悪い学生を留年・退学させる、もしくは卒業試験を落第にして国家試験を受験させないことで、大学全体の国試合格率を上げるという姑息な手段が横行しているのだ。

 文部科学省は昨年8月に「6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ」内で、「標準修業年限内の卒業率・国家試験合格率、退学等の割合が一定水準を下回り、教育の質に課題があると考えられる大学に対して適切な入学者選抜の実施および入学定員の適正化を強く要請すべきである」と指摘した。

 6年制の薬学部において標準修業年限とは、「大学在学6年」を意味する。国も大学がアピールしている数字をうのみにはしておらず、薬学部の質の評価に際して「6年ストレートでの国試合格率」を重視するという姿勢を明らかにしているのだ。

 そこで次ページでは、最新の文科省公表データを基に作成した、全74薬学部の「2017年入学者における6年間での薬剤師国家試験合格率」ワーストランキングを大公開。25の薬学部は、6年ストレートでの合格率が5割を切っていた。