留年者・既卒者などを含めない大学在学6年での薬剤師国家試験合格率こそ、薬学部の実力だ。特集『選ばれるクスリ』(全36回)の#21では、文部科学省が2023年1月に公表した最新データを基に作成した、全74薬学部「6年ストレートでの国試合格率ワーストランキング」をお届けする。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
6年ストレートでの国試合格率
20薬学部が5割を切っていた
薬学部や薬科大学がホームページや入学案内で実績としてうたう「国家試験合格率」。この数字は、ある“カラクリ”の産物である可能性がある。
医歯薬系の私立大学では、成績の悪い学生を留年・退学させる、もしくは卒業試験に落第させてふるいにかけることで国家試験合格率を上げるという慣習が横行しており、大学がホームページや入学案内でうたう国試合格率とその実態との乖離がかねて指摘されてきた。
昨年8月に文部科学省が発表した「6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ」にも「標準修業年限内の卒業率・国家試験合格率、退学等の割合が一定水準を下回り、教育の質に課題があると考えられる大学に対して適切な入学者選抜の実施及び入学定員の適正化を強く要請すべきである」とある。
標準修業年限とは、「大学在学6年」という意味だ。つまり、国が薬学部の質を評価する際に重視しているのは、大学がアピールしている数字ではなく、6年ストレートでの国試合格率なのである。
そこでダイヤモンド編集部では最新の文科省公表データを基に、74薬学部における「2016年度入学者の2022年度薬剤師国家試験合格率ワーストランキング」を作成した。なんと20の薬学部で6年ストレートでの合格率が5割を切っていた。